2006年8月1日

インタビュー:グランドハイアット東京エクゼクティブ副料理長 ショーン・キーナン

グランドハイアット東京エクゼクティブ副料理長 ショーン・キーナン

グランドハイアット東京のエクゼクティブ副料理長のショーン・キーナンは白くて背の高い帽子をかぶった、23年の経験を持つベテランシェフです。23年の経験にはシドニーのLevel 41やPavilion on the Park、Fratelli Paradisoでの経験も含まれます。しかし、オーストラリアと日本のベストレストランの間を行き来してきた陽気で静かに自信に満ちたオーストラリア人の彼も、タイラー基金が9月29日に開催した2006スポーツ・エクストラバガンザ・セレブリティ・ディナーほどのチャレンジを受けることはそうそうありません。

4ヶ月前、マークフェリスと他のタイラー基金の代表たちがショーンと共に、その夜に真にふさわしい、特別なメニューを考案するため、グランドハイアットに通い詰めました。カピル・デヴ、マイク・ガティング、ジョエル・ストランスキといった善意で集まったクリケットやラグビーのスターたちの肩に触れられるというチャンスをオファーし、イベントは様々な国からのファンを魅了するに違いありません。

「オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、南アフリカ、インド、パキスタンといった異なる国々が参加することを考慮し、各国からの料理を提供するというアイディアを思い付きました。」とショーンは言います。

彼は特にサウスアフリカの料理、中でも彼が全く馴染みのないある料理についてのリサーチを始めました。「アフリカの料理はたくさんの穀物やシチューを使うことがわかりました。南アフリカはまたオランダやドイツ、インドネシア、マレー、イギリスの影響を受けた料理のるつぼでもあります。」

ゲストには本物のホームクッキングの味に飢えた駐在者もいるということは大変な刺激となりました。「例えば、ボボティというスパイシーで風味のあるビーフシチューのレシピです。明らかに南アフリカの家族は秘密のボボティレシピを持っています。私共のレジデントマネージャーは南アフリカの出身であるため、彼に試食に加わってもらいました。まず始めの挑戦では甘過ぎましたが、何とか上手く行きました。またインド人の方々にはインド料理を試食してもらったり、といったことも行いました。」

世界的に人気があったのはカンバーランド・ソーセージというイギリス北部で、農民たちが畑へ出る前の朝食で振舞われた伝統的な50センチもの長さのソーセージです。「試食のとき、皆がこぞってこれは素晴らしいソーセージだと褒めてくれました。そのため、オーク・ドアで使っているレシピにも採用することに決めたのです。」とショーンは言います。

ハイアットの国際的な存在感はこのような珍しい料理イベントで素晴らしい力を発揮します。「地元で材料が見つけられないとき、私共はその料理が来た国に打診をし、ミーティングのために来日する人に頼んで、レシピやスパイス、私たちが必要とするものを持って来てもらうのです。」とショーンは説明します。「オリジナルの味やオリジナルの見た目を守るために、シェフを呼ぶこともあります。」

ホテルは最近イベントのためにムンバイからインド人シェフを招きました。「彼はスパイスやレシピの全コレクションを持って来てくれて、今でも私たちは彼がインドで手で挽いてくれる新鮮なスパイスを手に入れることが出来るのです。」とキーナンは言います。「また、私共は一緒に調理場で働くインド人シェフを迎え入れる予定です。」

ショーンのもう一つの挑戦は、基金のイベントのロジ的な問題でした。「私共はユダヤ人の祝祭日の一部である特別なパーティーのために、ここで150人のゲストのために調理をしました。」と彼は話しました。「全てユダヤ教の規則に沿って適切に調理されなければなりませんでした。トングやその他の調理器具も巨大なスープ鍋で3時間かけて煮詰めなければなりませんでした。また、全てのお皿やカトラリー、まな板は新しいものでなければなりませんでした。小麦やグルテン、特別なオイルを使った料理は許されませんでした。

「また、多くの製品がローカルのもので、ラベルが日本語で書かれていたため、適切に調理されているものであるということを確認するために、テキストを翻訳する必要がありました。」と彼は付け加えました。「大変難しい仕事でしたが、パーティーは成功だったので、彼らは大変喜んでいました。」

基金のスポーツディナーは羊のグリルカツレツ、ニュージーランドグリーンリップドマッセル(緑のムール貝)といったオーストラリアやニュージーランドからのシーフードなどが振る舞われる予定です。イギリス人が大好きなバブル・アンド・スクイーク、ランカシャー・ホット・ポット、ギネス・パイなどもメニューに載る予定です。ボボティ以外に南アフリカからはロブスター・メダリアン・グラタンやジョロフ・ライス、ゴンボシチューといった食事が、そしてインドからはチキン・ティッカ、羊のタンドーリ、ビリヤニを始めとする様々なカレーがラインナップしています。そしてパキスタンからはビーフ・マサラ、バター・チキン、ドライ・ポテト、フィッシュ・カレーなどが振る舞われる予定です。

「特定の料理には気をつけました。」とキーナンは言います。「例えば、カンバーランド・ソーセージ以外にポークは使っていません。そうしなければ本物の料理とは言えないからです。パキスタン側に住む人々はイスラム教徒だからです。その他に使った羊や牛といった全ての肉は、イスラム教の戒律に従って処理されます。また、骨付き羊のカツレツといった、普段は自宅に帰って帰ることが出来ないような料理も提供する予定です。」

またショーンは、厳格なベジタリアンでも食べられるよう、野菜だけを使ったベジタリアン向けの料理もたくさん用意する予定です。デザートはヨーロッパのもので、ワインは南アフリカやオーストラリア、ニュージーランドからのワインを準備しています。

「現在、30以上のメニューがあります。」とショーンは言います。「私の考えはゲストが一晩中様々な料理を試食出来るよう、出来る限りたくさんの選択肢を用意することでした。私はゲストの方々をたくさんのチョイスで圧倒し、驚かせたかったのです。」

多分、噂が広まったのでしょう。イベントはそもそも数百人のゲスト向けに計画されていましたが、今やその数字を遙かに超えてしまっています。ハイアットの素晴らしいグランド・ボールルームは550名ほどのゲストを収容することが出来ますが、もし予約がこの調子で入り続けるようであれば、一杯となり、満室となってしまうでしょう。

グランドハイアット東京に関して、詳しくはtokyo.grand.hyatt.comをご覧ください。