2008年5月1日

シャイン・オン!ニュース 2008年5月

タイラー基金をご支援くださっている皆さま、こんにちは!

今年は忙しい春となり、タイラー基金にとってうれしい悲鳴です!今回のニュースレターでは、9月26日(金)をお楽しみに、というご案内だけでなく、全てのプログラムの概要をご報告いたします。 では、参りましょう!

シャイン・オン・カウンセリング&サポートプログラム
(於 国立成育医療センター)

以前皆さまにご報告差し上げた、「心理士が小児がん病棟を週3回訪問する」という形式でスタートしたこのプログラム。1年と少しの経過の中で、たくさんの進歩がありました。

  • 現在では、フルタイム1名に加え、パートタイム1名の心理士が、小児がん病棟に限らず小児科の子どもたちとそのご家族約90名にカウンセリングを行っています。
  • 毎週「母親の会」を開催し、病棟を彩る装飾を手作りしています。
  • 親のための小児がん勉強会 – お母さま方にリクエストいただき、スタートさせました。
  • その他、子どもたちのための季節ごとの活動を計画・実施しています。

なお今回より、これらのプログラムを運営しているタイラー基金心理士・船木聡美より、病棟 で起きている出来事を、定期的にレポートさせていただきます。このプログラムを理解するには、彼女の報告をお読みいただくのが一番良い方法ではないかと思 います。レポートをご覧になりたい方は、 こちら をクリックしてください。

シャイン・オン・小児がん医療チームサポートプログラム
(於 国立成育医療センター)

この4月から、医師である満生紀子をタイラー基金の仲間に迎えることができまし た。満生は国立の医科歯科大学をトップの成績で卒業し、タイラー基金が費用を負担することで、現在国立成育医療センター血液科にフルタイムで勤務していま す。タイラー基金の医療顧問でもある熊谷医長は、彼女のような才能ある人材を2年近く探していたそうで、今後はより高いレベルの医療サービスを子ども達や その家族に提供できる体制となりました。NPOが医師の費用を負担する、というこの大胆な取り組みは、きっと他の病院にとってもポジティブな影響を与え、 成育医療センターの子どもたちにとっては、日々の生活の向上に直接つながっていくに違いありません。

シャイン・オン・シッティング
(於 ドナルド・マクドナルド・ハウス せたがやハウス)

タイラー基金はもう1名、この4月に新しい仲間を迎えました。保育士の、植山こず えです。彼女は国立成育医療センターに隣接するドナルド・マクドナルド・ハウスで、施設に滞在する、入院中の子どもたちの兄弟姉妹をお預かりする役割を 担っています。この保育プログラムは、長い間、入院中の子どもを持つご家族から望まれてきたものでした。週5日、0歳から6歳までのお子さんをお預かりす るというこのプログラムは、入院中の子どもの世話をしながら、平常心を保ってその他の子どもの面倒を見なくてはならないご家族にとって、一時の安心をもた らしてくれるサービスとなっています。

その他、以下のプログラムが進行中です!
  • 1) 専門看護師(CNS)奨学金プログラム — 小児看護の分野で、更にクオリティ高い資格取得を目指す優秀な看護師を応援します。
  • 2) 日本小児がん研究グループ・サポートプログラム — タイラーを追悼して、より良い小児がん治療のための研究に財政支援をします。
  • 3) シャイン・オン・キッズ FMたちかわ — 3人の小児がん外来の子ども達がFMたちかわを3ヶ月に1度訪問し、選曲をしたり、夢やタイラー基金について語るプログラムです。
アメリカのプログラムを日本へ

今年の3月の終わりに、キンバリ・フォーサイスおよび船木聡美は、ホノルルにある、女性と子ども達のためのカピロアニ医療センターで、海外の小児がんのケアの事例を2日間に渡り学んできました。

私達はその中でも特に、”タッカー”という名のかわいいセラピードッグのプログラムや、「ビーズ・オブ・カレッジ」というプログラムに感銘を受け、日本に今後導入したいと考えています。

これはまだ始まりに過ぎません!ニュースレターを通じて、今後情報を更新・報告して参りますので、お楽しみに。

ミステリー・ア・ラ・カルト! 2008年9月26日
(於 新宿区ヒルトン東京)

ワールドクラスのシェフたちと、探偵の夜…

素晴らしい料理のアドベンチャーと、壮大な演劇公演の融合…

こんな夜、東京に今まで無かった!

見逃さないよう、今すぐスケジュールに予定を書き込んでくださいね!

最後になりましたが、いつも子ども達の笑顔のために、温かなサポートをありがとうございます!

キンバリ・フォーサイス、 ( kim@sokids.org ) /

マーク・フェリス ( mark@sokids.org )

タ イラー基金の行っているカウンセリングプログラムのユニークな点は、心理士が専用の部屋を持たず、白衣も着ないで、ご家族や子どもの状況に応じて、ベッド サイドでお話を伺うというカジュアルなスタイルをとっていることです。これは成育医療センターの小児腫瘍科の医師と看護師たちの温かい雰囲気にヒントを得 ています。また、入院生活は検査や処置が随時入るので、ご家族が必要なときにいつでも応じられるよう、予約制をとらず、各ご家族の事情が中心になる姿勢を 貫いていることも特徴の1つです。こうして私はこれまでに30家族、86名の方々とお話をしてきました。

初回のカウンセリングで一番大切にしているのは、「ご両親が罪悪感を持つ必要はない」と伝えて差し上げるです。子どもが病気になった時点で、自分達に何か 問題があったんじゃないか、あの時気付いていればよかったんじゃないかとご両親が苦悩されることはしばしばあります。よくお母さまから尋ねられるのが、 「朝早くから子どもの就寝時間まで付き添ったほうが良いですか?」という質問です。その際には、「親御さんは十分良くやっていらっしゃるので、無理のない 範囲で付き添っていただけば大丈夫ですよ」とお伝えします。疲れきっているご家族よりも、いつもどおりのご両親にお会いするほうが子どもは安心するので す。

このカウンセリングプログラムのもう1つの特徴をお伝えさせてください。このプログラムでは、心理士が小児腫瘍科に専属しているので、子どもが病棟に入院 中のときだけでなく、退院後の外来やデイケア、あるいは検査や手術までご家族とともにいられることです。実は、小児がん病棟に専属の心理士がいるというこ とは日本では初めてのことです。また、心理士が、医師、看護師のカンファレンスに全て出席しているので、子どもの状態と治療を全て把握した上で、関わりを 考えることができます。ご家族が主治医に質問したいことがあればそれをともに整理し、子どもの食事に不安があれば栄養士に連絡をとり、経済支援を必要だと 考えているのであればソーシャルワーカーに連絡することも可能です。このように、病棟でともに生活をしながら話を聞き、専門家につなげ、こどもの状態を把 握しながらご家族の貴重な時間を有意義に過ごせるように最大限のサポートをしているのがタイラー基金のカウンセリングプログラムです。

さて、先日、2人の尊い命が、シャイン・オン・プログラムとともに、空へ旅立ちました。3歳の男の子が亡くなる1週間前に、その子を囲んで、お母様、お父 様、おばあ様、主治医、看護師、心理士でクリスマスの絵を作りました。タイラー基金からのささやかな画材が、ご家族による手作りのクリスマスプレゼントへ と変身しました。12歳の男の子は音楽を聴くことが大好きだったので、リクエストに応じて、タイラー基金からCDプレーヤーとCDを貸し出し、心理士と一 緒にベッドサイドで聴きました。「これ、ずっと聴きたかったんです」と目を輝かせて、そのCDを繰り返し聴いた後、彼は亡くなりました。

子どもたちは何度でも、命の輝きを私たちの目の前に見せてくれます。病気だから助けてほしいなどと聞いたことがありません。むしろ、生きている喜びと楽し みを一緒に分かち合いたいと、周りにいる医師、看護師、保育士の隙間の時間を窺って、知恵を絞って遊びを創り出しています。タイラー基金は、子どもたちが 輝くことで、ご家族、医療者、現場に関わるすべての人たちに幸せの連鎖が広がっていくことを目指して、今後も取り組んでいきます。

(プライバシーの都合上、一部子どもの情報を変更させていただいている場合がございます。ご理解ください。)

船木 聡美
いつもシャイン・オン!キッズを笑顔にしてくださってありがとうございます。
キンバリ・フォーサイス:( kim@sokids.org )

マーク・フェリス:( mark@sokids.org )

タイラー基金についての詳細は、ウェブサイトをご覧下さい。 www.sokids.org