2010年9月1日

ヘレン・ウッド

ヘレン・ウッド

2007年5月、東京にやってくる数多くの”転勤族の妻”の一人として東京に降り立ったヘレン・ウッドさんこそ、今月の輝かしきスター・ボランティアです。そんな彼女は来日してすぐ、企業弁護士としてのキャリアを何らかの形で活かす術を模索し始めたのです。母国イギリスで非営利の人権慈善団体であるリプライヴで働いていたヘレンさんは、来日から数ヶ月も経たないうちに思いがけない偶然をきっかけにタイラー基金創始者のマーク・フェリスと出逢うこととなりました。「夫が東京アメリカン・クラブでマークと知り合ったのですが、私が退屈しきっていて、バックグラウンドがバックグランドだけにエクストラヴァガンザを手助けできるかもしれないと言ったのです。そこでマークが連絡をくれるように、と言ってくれたのです。その日のうちに実際に電話をするなんて彼も思っていなかったんでしょうね。しかもその翌週には初めての会議に参加していた訳ですから」と言うのはヘレン。そんなヘレンとタイラー基金が抱えるイベントや活動は年を経るごとにどんどん増えていったのです。

「こんなことを言うのも変かもしれませんが、ヘレンの優秀さ、そしてイギリスでNPOの仕事をしていた経験から得るものは本当に大きいのです。仕事をする仲間として素敵な女性であるだけでなく、団体というものがどのように運営されるべきかについてのその冷静な見識や、本当に細かいところまで見据えていく彼女の能力は、気づいたら必要不可欠なものとなっていました」と力説するのはタイラー基金創設者で理事長のキム・フォーサイスです。

ヘレンは、マークと密に連携をしながら既存のスポンサーと良好な関係を築き始め、同時に新しいスポンサー開拓へも乗り出しました。「東京で新参者だった私にとって不可能なことだと思っていたのですが、決してそんなことはありませんでした。2007年のイベントが近づくにつれて色々な側面でどんどん深く携わるようになっていきました。イベントの運営というのはまさに取引をやっているようなものなので、取引担当の企業弁護士としての自分の経験が何よりも役立ちました。昔仕事していた頃と同等量の仕事をこなすなんてこれまでありませんでした」とはヘレンの弁。そしてキムも「何よりも、企業に財政支援を掛け合うその彼女の度胸に感謝しています。ヘレン、本当にありがとう!」と付け加えます。しかし、ヘレンによれば資金集めをやってみるとタイラー基金の資金集めは「NPOの人権団体よりはよっぽど容易いものです-多分在日外国人コミュニティの性質によるものでしょうね。後は所謂’お願い’であるとは言っても、多くの人々の目に魅力的なものとして映ることもあるのだと思います。そんなこともあってスポンサー探しやオークションの運営はとても楽しめたのです」。

なぜボランティア活動に携わるべきか、そしてなぜタイラー基金なのかについては「私たちの大半が東京でかなりお気楽な生活を送っているわけですから、私たちの生活しているコミュニティに何らかのお返しをすること、そしてより広い意味で(たとえマクロレベルでも)日本社会に何かを還元できることが私にとって本当に大切なことなのです。それには有意義なやり方が幾重もあるわけですが、私にとってはタイラー基金という方法があっていたのです。本当に偶然にも素晴らしいビジョンを持った、本当に魅力的な人たちと出逢えたことがその理由でした」と、ヘレンは語ります。ヘレンがタイラー基金に参加したのは、まだタイラー基金が産声をあげて間もない頃だったものの、ヘレンは基金のプロフェッショナリズムを感じ取り、「すぐに惹きつけられました。イギリスのNPO分野で一番不満を感じるのは組織力の欠如でした-そんな中で私はいきなり実際の計画、タイムライン、リスト満載の、進行のしっかりした経営会議に参加したわけですから、私にとってまさに天国でした!」と言います。

今は10歳、7歳、5歳の3人の子どもたちに関係する活動のボランティアが増えたヘレンさん。主にブリティッシュ・スクールでのボランティア活動に関わる中でも、彼女はこの2つの世界をつなげるパイプ役をかって出ました。彼女を通して、タイラー基金から在学生2家族に対して支援の手を差し伸べることができました。そのような中でもヘレンさんにはお楽しみもありました。昨年の資金調達イベント、ヴェガス・エクストラバガンザの「Digging for Diamonds」に参加したヘレンは、何とトップ賞のダイヤの指輪を獲得!物質的なものも魅力的ではありますが、ヘレンはタイラー基金の仕事に費やされた時間こそが有意義であり、「面白くて、やる気のある東京に暮らす人たち、何よりも本当に素晴らしいマークとキムと出逢えました。彼らが悲劇的な出来事をこれほどプラスの活動にし、この有用で素晴らしい基金を創設したことには頭が下がりますし、そのような姿勢に本当に刺激を受けます」と言います。

ヘレンさんが出席率の非常に高い、毎年恒例の資金調達イベントに深く携わるようになったことは不思議なことでも何でもありません。こよなく愛する旅行をしていないとき、彼女は人を楽しませることが何よりも好きなのです。ヘレンさんが築いてくれたスポンサーとの関係は未だに実をつけ続けています。「2007年、夫の思いつきが、スポンサー1社につながりました。彼はピーロート主催のワイン・オークションの広告を見て、もしかしたら彼らがタイラー基金に相応しいかもしれないと言ったのです。そこでマークと私は何か寄付してもらえないかと期待して彼らに連絡をとったのですが、ピーロートは想像以上の範囲で携わってくれ、結果的に過去3年間を通して私たちの主要ワイン・スポンサーになってくれたのです」と、ヘレンは回顧します。ヘレンさんがヘレンさんであるからこそ、そう、今月のスター・ボランティアはあなたなのです。仲間を呼んで、ワインを何本も開けて、そして私たちの感謝の意を肴に人生を楽しんでください!