2011年9月7日

ベイリーの応援隊長

シャイン・オン!セラピードッグ・プログラム ハンドラーの森田優子からのレポート

先日、ベイリーのことをずっと応援してくれていたベイリーの応援隊長、ユヅキ君(2歳)が残念ながら天国に行ってしまいました。ベイリーが1年半前、静岡県立こども病院に一週間「お試し」として訪問した時から会っていた子です。私とベイリーにとって、特別な存在でした。寝起きでぐずぐずしていた時にも、ベイリーを見つけると「あーっ!」と声を出して身を乗り出し、満面の笑みでベイリーに触っていました。

正面からじーっと見つめたり、座っているベイリーの脚の間に入ろうとしたり、ベイリーの上を乗り越えたり、ベイリーの体の下をトンネルしたり、ぺたーっとベイリーの体に頬をくっつけたり、「お鼻」「お耳」と言うとベイリーの鼻や耳を指さしたり、、、今でもその光景が目に浮かびます。病気のせいで同年齢の子に比べ、立つことが難しかったユヅキ君、PICUの中でも脚の力をつけるために、おもちゃの車に乗ってベイリーと散歩もしました。

在宅看護になってからも、ベイリーが行くと変わらず興奮して出迎えてくれて、ユヅキ君の笑顔は周囲の人を幸せにしてくれました。ご家族は、「ユヅキはベイリーの宣伝部長だから。」と言って新聞やテレビの取材にも快く応じてくださいました。

「ベイリーがいなかったら辛いだけの入院生活だった。」と、セラピードッグの必要性を実感し、もっと広めたいとの思いを持ってくれていたからです。亡くなったときも、「ベイリーの宣伝をするのが、この子のこの世での役割だった」と言ってくださいました。

テレビや新聞で、ユヅキ君の笑顔を通して多くの人がセラピードッグの存在を知り、必要性を感じてもらえたと思います。こういう活動の必要性は、患者さんとそのご家族から発信されて行くのだなと感じています。

入院中には立てなかったのに、お家に帰ってからは自力で数歩歩けるようになったユヅキ君。もう少ししたらベイリーと一緒に外を散歩できると思い、楽しみにしていました。

まだまだ元気でいてくれると思っていたのですが、残念で、寂しいです。病院で、セラピードッグの意味を分かってもらえなかったり、必要性を感じてもらえなかったり、悲しいことを言われることもあります。でも、ユヅキ君がベイリーを見て笑っている写真を見ると、「間違ってないよ!」と言ってくれている気がします。

ユヅキ君に「これだけのことをしたよ!」と言えるよう、もっともっと日本の病院にセラピードッグを広めていかなくてはと思います。