2024年2月1日

シャイン・オン!メンバーがこども家庭庁を訪問 入院生活や闘病中の学びについて生の声を届けました

この訪問は、2023年12月26日、こども家庭庁内のアットホームなスペースで行われました。

公益財団法人ベネッセこども基金様が主催した、こども家庭庁と同基金助成団体との情報交換がきっかけとなり、そこに参加したシャイン・オン!メンバーの高校生の「もっとたくさんの当事者の声を聞いて欲しい」という思いが、開催につながりました。
こども家庭庁の他、厚生労働省、文部科学省からそれぞれのご担当者が参加され、シャイン・オン!メンバーからは小学5年生から高校1年生までの小児がんを経験した子どもたちが参加しました。
初めは緊張の表情を見せていた子どもたちでしたが、こども家庭庁の皆様の優しい声がけに、徐々に和やかな雰囲気で対話が進みました。


子どもたちからは、
「全国の小児病棟のうち、院内学級があるのは3分の1ほど。多くの子どもが、入院すると学校に行けなくなってしまう。」
「退院した後に元の学校の勉強についていけなくなるのが嫌で、具合が悪くても勉強していた」
「復学前のカンファレンスで病院から学校に伝えてもらったことが、いざ学校に戻ってみたら配慮してもらえない、と思うことがあった」
など、闘病中にも学びを止めたくないという声が多く出ました。

また4年にわたり入院治療を経験した小学生は、
「退院した当初は1週間に1日、保護者に付き添ってもらって登校した。翌年から1週間に3回、その翌年から毎日1人で学校に行けるようになった」
と、闘病後の復学を振り返り、院内学級の普及や学校内の補助員の充実を訴えていました。

学びに関する話題以外にも、高校生からは
「会社の制度では看護休暇は年に数日しか取れなく、父は仕事を終えた後、夜遅くに面会に来てくれた。長期療養が必要な子どものために、看護休暇の日数を増やしてもらえるように、社会が変わってほしい。」
「晩期合併症で大人になっても通院や治療が必要な時に、小児の医療助成がなくなり、経済的な負担が心配。小児慢性の助成に代わる、障害者手帳を持っている人に対する助成のようなものができないか」
など、社会の意識の変化や制度についての要望があがりました。

また、ダンスのステージに戻ることを信じて病気を乗り越えた小学生は、
「入院中は辛いことの連続だったけど、病気になっても何もあきらめたくなかった。家族と一緒だったから耐えられた。今また踊れる体に戻れた事は奇跡。ダンス、家族、支えてくれた病院の皆さん、そしてファシリティドッグのマサのおかげで、生き抜く強い気持ちを持ち続けられた。」
と闘病を振り返りました。

こども家庭庁の方からの「病気を乗り越えるためには、夢を諦めないことが必要。そのために、病院にどんなことがあると良いか」という問いかけに対して、子どもたちはファシリティドッグの存在をあげていました。
「家族や医療者など、寄り添ってくれる大人は、どうしても心配になって言葉をかけたり、気を使ってしまったりする。でも、ファシリティドッグは何も言わずに、ただ横にいてくれる。その時間がとても大切だった」と答えました。

今回の交流会に際して、事前に全国の小児がん経験者を対象にアンケートを実施し、当日参加した子どもを含む19名から回答が集まりました。参加できなかった子どもたちの声も合わせて、こども家庭庁にお届けしました。


小児がん経験者は治療中だけでなく、退院後も色々なハードルを乗り越えて行きます。その一つが「学び」です。参加した子どもたちはこの日のために、各々の経験を振り返り、伝えたいことを整理し、時間をかけて準備をしました。そして当日は力強い素晴らしい発表で、同じ経験をした大勢の仲間を代表して、当事者の声を届けることができました。

この訪問のきっかけをくださいました、公益財団法人ベネッセこども基金の皆様、子どもの声を直接聞いていただく機会を提供くださいましたこども家庭庁の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。